急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫)

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫)

目次
はじめに ティッピング・ポイントとは何か?
第1章 爆発的感染、その3原則
第2章 「80対20の法則」から「少数者の法則」へ
第3章 粘りの要素
第4章 背景の力
第5章 「150の法則」という背景
第6章 商品はどのようにして感染するのか?
第7章 自殺と禁煙
第8章 ティッピング・ポイントを押せば世界は傾く


ざっくりとした要約はhttp://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/51071723.htmlにも。さすがのsmoothさん。

●爆発的感染の3原則
⇒「少数者の法則」
⇒「粘りの要素」
⇒「背景の力」


■少数者の分類
●コネクター(媒介者)
⇒世界を束ねる特殊な才能をもっている人
⇒「弱い絆」をも多く持つため、社会的力が強い
⇒発想なり製品なりがコネクターに近づけば近づくほど、力と機会が増える

●メイヴィン(通人)
⇒情報の専門家で、良い情報があれば、他人に教えたがる人
⇒口コミによる伝染を始動させるための知識と社会的技術が備わっている

●セールスマン
⇒人々が情報に納得しない時、説得する技術を持つ人
⇒優秀な「セールスマン」は、話の内容とは異なる部分で「説得力」がある(俗に「カリスマ」と言われる人など)


■粘りの要素
情報が行動を促すようなしかけ。
予防接種のパンフレットに、接種を受けられる場所の地図をのせる、とか。


■背景の力
ニューヨークの地下鉄における「割れ窓理論」とか。
スタンフォード大学での囚人役と警官役の実験とか。
テストでのカンニング傾向に、状況が及ぼす影響とか。

性格とはむしろ、習慣や指向性や関心の束のようなものであり、それぞれゆるやかに結ばれ、時と場合と背景しだいで変わるものなのだ。


■150の法則
人間が無理せず維持できる集団構成員数は150が限界らしい。

150以下であれば規範なしでも同じ目標を達成することができる。


■イノベーター理論との絡み
イノベーター・初期採用者と、初期多数派は質的に異なり断絶がある。この断絶の橋渡しに少数者が影響する。



■雑感メモ
ティッピング・ポイントという概念はすごく重要な視点。
少数者の法則、粘りの要素、背景の力ではうまくまとまってない印象。使う側にまわったら使いづらくないかこれ。150の法則はどこから来たって感じ。


おそらく一番重要なのは、背景の力の章で説明される「割れ窓理論」だと感じる。
重要なので抜き出そう。
P198(強調は引用者による)

まずは無賃乗車が最悪の問題になっている駅を洗い出し、各駅の改札に10人もの私服警官を配置した。そして無賃乗車しようとしているものを片っ端からとらえては手錠をかけ、「満員」になるまでプラットフォームに数珠つなぎにたたせておいた。地下鉄警察は無賃乗車の取り締まりに本気になっているという意思表示をできるだけ広く知らせるための方策だった。

それまで警察が無賃乗車の取り締まりに及び腰だったのは、逮捕して警察署に連行し、必要書類に記入するという手続きを踏むとーーしかも、通常は軽くたしなめる程度ですむ犯罪でーー丸一日かかってしまうからだった。ブラットンは市営バスを改造し、ファックス、電話、留置所、指紋読み取り装置などを備えた移動警察署に仕立て上げた。これによって逮捕に要する時間はたちまち一時間に短縮された。

ブラットンは同時に、逮捕者全員の身元を確認するように命じた。案の定、7人に一人は逮捕状が出ている容疑者で、20人に一人はなんらかの武器を所持していた。こうなると警察官に無賃乗車の取り締まりの意味を説得するのは難しいことではなくなった。

これ、決して「案の定」じゃないでしょ。

無賃乗車が、ハインリッヒの法則http://www.mitsue.co.jp/case/marketing/03.html)の300に当てはまること、1や29があふれているときにも300を狙い撃ちにすることで1や29を減らしていけること。
つまり、犯罪行為のティッピングポイントは落書きやポイ捨てや無賃乗車などの軽犯罪。これにさらに背景の力が働く。

ある経営者は企業買収の際、「工場の床がキレイかどうか」に注目するという。床がキレイであればホコリが少なく、故障や事故も少なくなる。最近ではメジャーになった5Sが徹底できているかを一目で見抜けるからだという。
つまり、ミスや事故のティッピングポイントが5S。これにさらに背景の力が働く。

これは通常のレバレッジとは明らかに違う。こういった、ボトルネックの逆のような、押さえるべきポイントを見つけることができるかどうか。



これがティッピングポイントである。




このティッピングポイントの話は本書にもたびたび出てくるが、なぜかあまり強調されない。こういう、結果として大きな効果をもたらす、一見些細なこと=ティッピングポイント見つけて集中することが大事なのではないか。
少数の法則とか、粘りとか、背景の力とかは、どちらかというと二次的なもののように感じるんだが。。。



「些細なことから大きな結果を生み出すことは可能なのである」

これが本書のメッセージってことで、受け取っておきます。